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発声・発音訓練が明瞭な発声・発音を必ずしも可能にするわけではない理由 [コミュニケーション]

昨年夏に、発声・発音が不明瞭なことで受けた不利益(http://kobuta-090315.blog.so-net.ne.jp/2011-08-28)を記事にして以来ずっと、明瞭な発声・発音ができない理由などを説明しなければ・・・と思っていましたが、そのように思う一方で説明したところでそれが何になるのかというネガティブな思いもありました。

以下、本題です。

乳幼児期から難聴のある人たちの多くは、乳幼児期から小学生までの間に、発声・発音訓練を受けています。
しかし、訓練を受けたことによる効果は、人によってばらつきがあります。

発声・発音訓練が、難聴児にとって明瞭な発声や発音を必ずしも可能にするわけではないのはなぜか、考えたことはあるでしょうか?
原因は、難聴児の残存聴力や補聴効果、家庭環境などいろいろですが、ここでは、三つの要因について順に説明していきます。

1.発声・発音訓練以外に必要な訓練もある

乳幼児期にある難聴児の場合、身につけている語彙の数がゼロであることから、発声・発音訓練以外に、一つ一つの言葉の意味を知って理解し運用できるようになるための言語訓練も必要になります。
なお、言語訓練では、将来、日常生活で困らない程度に書記日本語の運用能力を高めることに主眼が置かれています。
発声・発音訓練、言語訓練ともに、訓練に最も適した時期が乳児期から6歳位までと限られ、指導機関以外に家庭での訓練も必要になるため、乳幼児期にある難聴児は訓練に多くの時間を割いているのが現状です。(※)
また、二つの訓練を並行して進めていくのは、時間的、体力的にも厳しく、家庭にとっても精神的に負担が重いものです。
周囲の人の理解や協力がなければ、並行して進めていくのはおそらく難しいでしょう。

※この10~20年は、人工内耳装用や性能の良い補聴器が助けとなり発声・発音訓練にかかる負担が軽減されている難聴児が出てきていますので、「訓練に多くの時間を割いている」「時間的、体力的に厳しい」という表現は、過剰な表現だと思われる方もいるかもしれません。
しかし、人工内耳や補聴器が助けとなるのは、経済面で恵まれている難聴児に限られると思います。
また、そのような難聴児は一部です。
(経済的に厳しくても、親が”口頭で話せるようになること”に固執するあまり、人工内耳や補聴器を装用する難聴児も存在すると思いますが・・・。)
このことから、「訓練に多くの時間を割いている」「時間的、体力的に厳しい」という表現を用いています。
ご了承ください。

2.専門家なら誰もが適切に指導できるわけではない

発声・発音訓練の場合、国や自治体でフォロー体制が確立されていないことから、大きな成果をあげるには指導する側の指導方針や力量が大変重要になってきます。
指導を受ける場所である聾学校や福祉施設、大学病院等には、発声・発音訓練を担当する専門家がいますが、専門家なら誰もが適切に指導できるわけではありません。
私の出身地域に限っていえば、難聴の程度に応じた指導のできる専門家は大変少なく、高度難聴までなら指導はできても重度難聴となると難しいという専門家が多いように思います。
なかには、指導を最初から放棄している専門家もいるように思います。
指導を受けている場所に適切な専門家がいない場合は、他のところを探す必要があると思われるかもしれませんが、探すにしても大変な労力と時間を必要とします。
通学圏外に適切な専門家が見つかった場合、金銭的に余裕がある家庭では、わざわざ転居してまで指導を受けているほどです。

3.家庭での大量訓練も必要だが、効果は訓練量に比例しない

家庭での訓練は、指導してもらったことを反復する形で進められますが、家庭環境や家庭の教育方針によって訓練にかける時間が変わってくるように思います。
明瞭な発音のできる難聴者が子どもの頃に発声・発音訓練に費やした時間は、一説によれば、トータルで6000~7000時間といわれていますが、それだけの時間を確保できる家庭ばかりではありません。
なお、発声・発音訓練は訓練量に比例して効果が大きく出るものではありません。
言語訓練にも多くの時間を割く必要があることから、将来の進学・就職に困らない程度の言語力獲得を目標にする考え方、普通に会話できるようになることを目標にする考え方のどちらを重視するかによって、発声・発音訓練に対する比重の高さが変わってきます。
当然ですが、前者の考え方を重視する場合、発声・発音訓練をしても不明瞭さが残ることを考えておく必要があります。


以上のように複合的な要因が絡み合うことで、訓練したからといって、明瞭な発声や発音が必ずしも可能になるわけでありません。

この記事に関して、他に何か書くことが出てきましたら、また記事にします。
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